こていかかくかいとりせいど(えふあいてぃ) 固定価格買取制度(FIT)
固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)は、再生可能エネルギーで発電された電力を、あらかじめ定められた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを国が保証する制度です。これにより、発電事業者は長期的な収益見通しを立てやすくなり、再エネへの投資を促進します。
目的
- 再生可能エネルギー発電の導入促進
- 電力供給の安定化
- 環境負荷の低減
対象となる発電方法(買取期間)
- 太陽光発電:10年または20年
- 風力発電:20年
- 水力発電:20年
- バイオマス発電:20年
- 地熱発電:15年
メリット
- 発電事業者の収益性が高まり、投資が進む
- 再エネ導入の加速
- 二酸化炭素排出削減など環境への貢献
デメリット
- 再エネ賦課金による電力料金の上昇
- 電力会社にとっての調達コスト増加
制度の現状と今後
日本では2012年にFIT制度が導入され、再生可能エネルギーの普及に大きく貢献してきました。しかし、コスト面での課題から、2019年以降はFIP制度(市場連動型の補助)への移行が進められ、FIT制度は段階的に縮小されています。今後は、普及とコストの両立を図る制度設計が求められています。
FIT制度とFIP制度の比較
FIT制度(固定価格買取制度) | FIP制度(市場連動型補助) | |
---|---|---|
買取価格 | 国が定めた固定価格 | 電力会社が自由に設定 |
期間 | 一定期間 | 一定期間 |
目的 | 再エネ導入初期の普及促進 | 市場原理の導入、自立的な再エネ促進 |
リスク | 発電事業者の価格変動リスクなし | 発電事業者の価格変動リスクあり |
FIP制度は、電力会社が自由に売電価格を設定できるため、FIT制度よりも市場競争が促進されます。一方、FIT制度は、国が固定価格を定めるため、事業者は安定した収入が見込めます。